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表題のように、本広監督が総監督を務めているから、ではなく、以前から見ていた「PSYCHO-PASS」の劇場版ということで気になっていたので、新宿バルト9で観てきた。

金曜日の夜だというのに、オンラインチケット予約システムのKINEZOで事前に座席を確保しようとすると、既に客席は8割以上埋まった状態、公開一週間経過してもこれだから、その人気度がうかがい知れるというもの。

さて、PSYCHO-PASSについて説明すると、人間の感情や性格、資質が数値化され、その数値をもとに人間の人生を管理するシステム「シビュラシステム」が支配する世界の話で、そこで起こる事件解決のために活躍する公安局のメンバーを追った物語。

潜在的に犯罪に走る可能性の高い性格的資質を持った人は、「潜在犯」と呼ばれて、社会から隔離されたりするのだが、この公安局では、犯罪に対応するための刑事としての役割を果たす捜査官として、潜在犯を登用、彼らは「執行官」と呼ばれるが、彼らを管理する「管理官」と「執行官」が犯罪者に対して活躍するさまを描いたアニメだ。

これまで、テレビシリーズ2作が作られていて、この劇場版は初の劇場版作品となる。

ちなみにこんな絵柄です。

もともと、自分が興味を持ったのは、この作品も制作しているアニメ制作会社「プロダクションI.G」が手掛けている人気アニメ「攻殻機動隊」のファンで、そこからこの作品を知って、テレビシリーズを見てみたらすっかりその魅力にハマってしまったことがきっかけ。

自分は人間の可能性というものを信じているので、人間以外のものが管理する社会と人間の対立だとか、化学が発展しすぎた社会における「自我」とは何かとか、デジタルとアナログの対立や対比をテーマとした作品が好きで、そうした意味でも、「攻殻機動隊」における「義体」(機械)と「ゴースト」(精神)の存在や、この「PSYCHO-PASS」における「シビュラシステム」(管理する側)と「常守朱」「狡噛慎也」(その管理を無条件には受け入れない存在)との対比がとても興味深いのだ。

ともあれ、劇場版を見て、そのストーリーや戦闘シーン、世界観に満足した。
画面から見える迫力、ドラマとしての内容の濃密さ、エンディング、音楽、どれをとっても不足なし。
エンディングテーマは帰宅してすぐiTunesで落として現在ヘビロテ中である。

・EGOIST「名前のない怪物」

そして、この作品を見て自分が満足したのは、作品としての完成度の高さだけによるものではなく、「シビュラシステム」という管理システムがあり、人間の資質や性格が数値化され管理される世界の中で、それをいたずらに受け入れるだけでなく、疑問を抱きつつ、シビュラシステムが管理する「争いのない、失敗のない人生が約束された世界」に存在する人間として、時に悩み、裏切られ、失望しつつ、力強く生きていく登場人物たちの姿が、シリーズを通して不変であるという爽快さによるのだと思う。

そう、人間にはあらゆる可能性があることを、自分は信じています。
そして、人間は悩むことで成長することも。
社会におもねること、権力に従うことは、敗北と同義ではなく、自分の価値観を否定され、自分が揺らいだ時に、それでも前を向いて立ち上がる力こそが人間の強さなのだ。
この作品はそう言い続けている気がしてならないのです。

そして来月。
本広監督が手掛け、作り上げたもう一人の子供のような作品が公開されます。
高校演劇関係者は、自分たちの世界に光がさすことを願って、モノノフたちは、演ずる彼女たちの姿が人々の胸を打ち、なおかつ彼女たちらしいきらめきをスクリーンに映し出すことを期待して、この作品は、そうした周囲の期待を一身に背負って公開されます。
ももいろクローバーZ主演。「幕が上がる」

2月28日の公開です。

■参考HP
「PSYCHO-PASS」公式HP
「幕が上がる」twitter

2015.01.17

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