ももクロ札幌ドーム大会に向かう、地下鉄東豊線の最寄駅、福住駅からドームまでの道すがら、交通整理をする係員が声をからす。
「戦いに行かれるモノノフの皆様、歩道は左側通行でお願いします!」
その駅の最寄りのイトーヨーカドーでは、ももクロの出版物コーナーが設置された。
自分が、ススキノのジンギスカン屋に行ったら、入り口で私のパーカーを見た人が言った。
「店内にモノノフいますよ。」
店員に案内された座席の隣はモノノフだった。同じパーカーを着ていた。思わず会釈した。
会場で隣り合わせた、自分と同じしおりん推しのモノノフに、「これ、貰って下さい」と赤推しのステッカーを貰った。私が東京から来たと知ると、嬉しそうに笑いながら「こっちは寒いのに、お疲れ様です」とねぎらわれた。
ねぎらわれる理由はないが、何故か温かい気持ちになった。
ライブは、ももクロの第3期の始まりに相応しいものだった。
新アルバムを聴かせ、新しいパフォーマンスをし、これまでの曲も惜しみなく披露して。
ももクロは確実に進化している、それを感じさせるドーム公演だった。
広いドームのあちこちに彼女たちは現れ、ドームの広さを感じさせない演出だったし、実に濃密な3時間41分だった。
そして、印象に残っているのは、あーりんの言葉。
「ゴリラパンチで緑に染まるのは分かるよ。だけどなんでサボテンとリボンのときにピンクに染めてくれないの! 怒ってるんだからね!」
ああ、もうこんなこといわれたらごめんと謝るしかないな。
大丈夫、次回のライブで「サボテンとリボン」やったら、きっとその時会場にいるモノノフがピンクに染めてくれるよ。
そしてもう一つ。
「ナゴヤドームの時に、モノクロデッサンでメンバーそれぞれの色を歌う時に、皆見事にサイリウムの色を変えてくれたんだけど、今日もそうなってた。なんで? それに、皆のそばに行くと、行ったメンバーの色に変えてくれるの。推しじゃなくても、そのコの色にしてくれるの。本当にみんな優しい…」
そしてすかさず有安が言う。
「でも。色を変えるの手動だから、みんな必死になってカチカチ変えてくれてるの。嵐さんは自動なんだけどね、私たちは手動で。」
あのね。いいんだよ。杏果、手動で。
だって、運営側に押し付けられる「作られた応援」なんて、自分たちには必要ないから。
必死こいてカチカチ推し色変えるのは、自分たちがそうしたいだけなんだから。
それ見てメンバーが、少しでも嬉しいと感じてくれたら、これに勝る喜びなんてないんだから。
2枚同時のアルバム発売、それからちょうど10日後のライブだったけど、どの曲も、まるで昔から何度も聴いている曲のように、モノノフはサイリウムを振り、コールを入れて盛り上がった。
ちょっと勤勉すぎるだろ、と苦笑したくなるくらいに、それはカンペキだった。
ももクロのライブに行くと、ライブ終わりに、メンバーの名前を叫ぶ人とともに、「ありがとー!」と叫ぶ人が本当に多い。
自分たちは、ライブを見て、かけがえのない何かを貰ってる。
だから、その素晴らしい空間を作るために、自分たちも頑張らなくちゃいけない。
それを、皆が知っている。
というか、そう思っているのがモノノフ。
最後の挨拶の時、嬉しいことがあった。
夏菜子恒例の「今日のライブを一緒に盛り上げてくれた仲間を紹介します」という挨拶。
ダウンタウンももクロバンドのメンバー、駒大苫小牧高校の吹奏楽部員、3Bjuniorに続いて、
「そして、モノノフのみんな!」
と言ってくれたのだ。
ライブを一緒に作ってる仲間だと認めて貰えたのだ。
こんなに嬉しいことはない。
いま、帰京して、アルバムをまた聴いている。
ライブの余韻に浸りながら。
素晴らしいライブだったなあ。
[February 28, 2016]