週刊プレイボーイを買ったのは久しぶりだった。
思わず手に取った理由は、表紙にある「PRIDE」の文字。
実は、電車の中吊りで週刊プレイボーイの広告を見るまで、10月8日に榊原代表が記者会見を開いて、新たに格闘技連盟「RIZIN」を立ち上げ、今年の12月29日と31日に、さいたまスーパーアリーナで興業を行う、ということは知らなかった。
そして、その大会に、桜庭や青木やヒョードルが出ることも知らなかった。
もう2度と会うことはない、という絶望感にさいなまれてから7年。底知れない喪失感に包まれてから7年。
PRIDEのあの熱狂が戻ってくるかもしれない、という期待感に震えている。
何も考えずに感情を爆発させられるあの場所。
期待と、喜びと、悲しみと、切なさと、人間の強さも弱さも感じられる、そんな空間。
榊原氏は、週刊プレイボーイのインタビューでこう言っている。
「単なる同窓会では意味がない」
「PRIDEなんてぶっ壊すつもりでやっていかないと」
そうだろうと思う。
出場する選手、イベントの主催者が一緒でも、昔と同じ熱狂が戻ってくるとは限らない。
ひょっとしたら、期待した分、失望することになるかもしれない。
でも、僕たち格闘技ファン、プロレスファンは、幾多の失望にも悲しみにも負けることなく、選手たちをリスペクトして、敗北から立ち上がる選手の姿に勇気づけられ、勝利の歓喜に酔い、人間の強さとは何かを知って、前を向いて歩んできたのだから、今回の結果がどうなろうと、何かを感じて、未来につなげる手助けができるのではないかと思っている。
自分にできるのは、榊原さんの新たなチャレンジを心から応援すること。
もう一度リングに上がる決断をした選手たちの姿を目に焼き付けて、試合を楽しむこと。
PRIDEを失ってから、代わりに熱狂できる何かを探して、自分はももいろクローバーZに辿り着いた。
昨年、自分は脳梗塞で倒れて、死と生の狭間を漂い、運よく一命を取り留めて社会復帰した。
自分の社会復帰のモチベーションになったのは、ももクロをもう一度応援したい、という気持ちだった。
そうしたら今、失ったはずのかけがえのないものが、再び目の前に現れようとしている。
永遠に会えないはずの恋人にもう一度会えるかもしれない。その期待にドキドキしている。
本当に思う。
「生きていて良かった」
榊原さんは、9月20日に、アメリカのMMA団体、ベラトールのイベントで、こう言っていたそうだ。
「 ニューチャプター(新章)を始めよう」
そう、これから始まるのは、新たな試み、新たな戦い。
UFC、見てろ。
戦いは、これからだ。
[2015.10.17]